シンプルな配合のドイツ菓子。
シンプルなお菓子ほど、美味しさを引き出すための使用材料と作り方が大切です。
私が学んだドイツのケーキ屋のシェフは、使用材料へのこだわりが強く、常に厳選した材料を使っていらっしゃいました。
特にバター使用への思い入れが強かったことを記憶しています。
バターはお菓子の味や香りを引き立てる大切な役割を担っていますので、「N」では日本国内製造の香り高い無塩バターを使用しています。お菓子の香り付けや味のアクセントに重要なレモンはオーガニックのレモン皮・レモン果汁を使用しています。
チョコレートは製菓用のチョコレート、Cacao Barry カカオバリー社のクーベルチュールを使用しています。ダークチョコレートはエキストラビター(カカオ分64%:コーヒーや栗のようなアロマを持ち、繊細なカカオの風味とローストの香りが特長)、ミ・アメール(カカオ分58%:丁寧にローストしたカカオの風味、植物性の柔らかい酸味を持つ)を、ミルクチョコレートはラクテ(カカオ分38%:華やかなアロマがカカオの力強い風味を際立たせる深い色調のミルクチョコレート)を使用しています。
ココアパウダーは力強いカカオの風味と濃い赤色が特長のVALRHONAヴァローナ社のカカオ(ココア)パウダーを使用しています。
マジパンローマッセ(砂糖が1/3以下で、2/3がアーモンドや水分で作られたアーモンドのペースト)は、ドイツ修業時代にお店で用いられていたドイツの老舗LÜBECKER社のマジパンローマッセを使用しています。無添加・無着色、伝統的製法で作られるマジパンローマッセはアーモンドの香りが深くしっとりした味わいが特長です。
抹茶は鮮やかな緑色が際立つ京都和束産の宇治抹茶を使用しています。
ルバーブは赤い色が鮮やかな国産のルビールバーブを使用しています。
またグリュックスクーヘンに使用する素材として、チェリーは国産で珍しい山梨県産のサワーチェリー、長野県産の小布施栗とあんず、広島県産のオーガニックレモンと甘夏やネーブルオレンジなどを焼き菓子のために加工して使用しています。
菓子成分の多くを占める小麦粉に関しては、ドイツでは国産小麦粉を使用しているお店がほとんどです。日本でドイツ産小麦粉を入手するのは難しいため、現地でのお菓子と似たような味わいになるように、隣国であるフランス産の小麦・国内製造の小麦粉を使用しています。
その他の材料に関しても、ドイツで使用している材料と全く同じものを日本で手に入れるのは難しいのですが、なるべく、そして何より美味しいと思える材料にこだわっていきたいと考えています。
ドイツでは、ドイツの風土に合うドイツに住む人々に好まれるお菓子が作られています。
「N」では、ドイツでのオリジナルレシピを元にお作りしていますが、日本の風土や日本人好みになるように微調整をしています。